キクチ・ヒサシ

文化と芸術を言祝ぐ『コトバの塔』

コトバの塔

iPhone音声入力で口述筆記を試みる。

私は今、音声入力をしている。元来私は、手先が不器用であり、iPhoneの小さい画面で文字を入力するのは苦手で、できるだけiPhoneで文字入力をしないように心がけてしまう自分がいるのだが、キーボードで入力するにしても、我を忘れてくると、獣のようなスピードで入力できるのは確かだが、後で恐ろしいほどの疲労が襲ってくる。そういうわけで、ドストエフスキーのように口述筆記をしたいと願うのだが、お手伝いさんを雇うわけにもいかず、iPhoneの音声入力を使うことにして、今、試みているのだが、今のところこんな感じで、話すだけで文章書いている。思ったよりも音声入力は、快適である。もう少し続けよう。

今年の夏は、人生最高のものであった。10年に渡って書いてきた短編小説をまとめてリリースし、梅原猛の「聖徳太子」なる分厚い書物を読了し、黒澤明の映画全30作品に取り組み、ブログに100記事をアップし、四天王寺と一心寺を回り、親鸞が夢告を受けた六角堂を訪ねた。サマーソニックでレディオヘッドを見て、ホームセンターで板を買ってきて書斎を作り、短編小説「前田龍のはなし」をリリースして、「バカヴァッドギーター」によって思想が深まり、花火を見て、住吉大社の祭りと天神祭に先祖の声を聞いた。西洋文明を導入した日本と言う視点を超えて、アジア文化導入によって、大和朝廷がなり、さらにはこの列島の大地に、稲作導入以前の縄文文化の名残を知り、文化的視野は深まった。この夏は、私の人生で最大である。豊穣であった。

というように、音声入力によって上記文章を書いてみた。非常に楽で、想像以上に早口にも対応しているが、自由な語りをすると、漢字変換がさすがについてこれないところがある。つい、音声入力のリズムに合わせてしまうので、文体のリズムまで出すのは難しい。ひとつひとつの文章を明確に、口にしないといけないので、少々お馬鹿な文章になってしまうが、メールくらいであれば、とても使えるという感じである。あまり単語を区切るよりも、文章の流れで漢字変換を判断しているようなので、少し長めに文章を口にするとうまくいく感じである。もう少し慣れれば、自由な語りに使うことも出来るだろうか、ある程度自由に語って、あとで直すという考えで使うのがいいのかもしれない。かっこは、かっこ、句読点はてん、まる、と言い、改行は、かいぎょうと言う。こんな感じで書いていける。話したことが文章になっていく感じは、何か新しい体験をもたらしそうな感じもする。指や腕や肩の疲労がなく、話すだけで書けるというのはうれしい。話すということで、また違う文章が書けるのではないかとも思う。話すという行為が習熟されてくる面白味もあると思う。というわけで、時々練習がてら、音声入力で文章を書いていこうと思う。メールはもう音声入力でいく。紙にペンで書きつける、PCによるキーボード入力、音声入力と全く感覚が違うのが面白い。それから、部屋で音声入力をしている自分がおかしくて、笑いそうになる感じも好きだ。

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