読者に頂いた感想を掲載します。どうもありがとう。キクチ・ヒサシ短編集「その他の物語」長編「話の途中」の感想
2018/03/27
わたしの短編小説集「その他の物語」の感想を頂きました。関東にお住まいのSさんです。一度お会いしたことがありますが、詩人という感じの方です。
正直に言わせていただくと、想像以上に面白いのに驚きました。
文体が読み易くイメージしやすいですし、単純に面白いという意味でも。笑いのツボが似てるみたいなことで、言わんとしてることがじわじわと伝わってきて、ひきこまれました。前期に書かれたもの、わかるな~と言うような言い回しがさらっと書かれてて、すごくて可笑しくて嬉しい。身体の底から笑いがこみ上げてくる感じ。よくあります。これは一つの鍵だと思います。深い地中の底、清らかな水が流れている音がしていました。とても懐かしいおと。その煌めく土中の鮮やかなにおいに、感嘆し、笑みがこぼれました。後期に書かれたもの、新しい段階の入り口にいるように思いました。あなたならもっと深く曖昧でたしかなものが書けると感じました。霧の山に立ち入って、新たな生命に出会い、妖怪吸いつきに会い、わからない確かなものに触れ、泥だらけになり、それらすべてになり、再び光を、あなたの光を見たいと思いました。そして忘却のかなた、浮標の先、しなやかに片脚でおどけてみせる、私をみつけてください。なんて。
どうもありがとう♡最初期の作品を推してくれる人がいて、わたしは感動しました。わたしの自由な芸風?があんまり刺激的すぎるのか、なかなか理解者が少ないので、初期の作風は、長編「話の途中」以後は、消えてしまいましたが、Sさんの感想を頂いて、書いて良かったな、と思いました。この頃は、一行一行に本気で、それがユーモアと自由な日常の捉え方にもつながって、Sさんがおっしゃるように、日常生活で皆が抑圧しているようなものを全て開けてしまうような所があるのかもしれません。笑って読んでもらえたことが、一番うれしい。
最近の作品は、確かに幕開けという感じはあるかもしれません。まだまだ書ける、という感触が、すごくありますので、きっと、今後の作品は、またお腹を抱えるような諧謔が爆発していくのかもしれません。ご期待ください。そして、あなたの書いたものをまた読めるのを、わたしは楽しみにしています。
内容紹介名のない男が、焼野原に言葉の塔を打ち立てるのに、10年の歳月が流れた。男が、透明な塔で、深い黄金と高い星に梯子をかけたとき、そこに見えてきたのは、不思議な光だった。傑作「クリスマスに降る夜」を含む21編の短編小説を収録(2003ー2015)。外的世界と内的世界が円を為す詩的物語群。解説と著者あとがきを付す。*目次1 サンフェイス2 その他の物語3 カッパのしゅうまつ4 ファミレスの王5 彼女が嘔吐したもの6 消えた両方7 りんご飴とボブ・ディラン8 カマキリとペン9 キスの終わり10 父11 王様と遊園地12 白い尻13 三十の夜に起きたこと14 黄金15 マクドナルドの恋16 ゴールデンウィーク17 ウサギとサンタクロース18 舟が流れていく19 星降る夜20 あなたへの愛しい気持ち21 クリスマスに降る夜解説あとがき
長編小説「話の途中」(2008)と中編「かぜのかたち」(2009)の感想を読書メーターに発見しました。お会いしたことがありませんが、リタさん、どうもありがとう。
友人の友人が書いた本です。今回特別に送ってもらうことができました。タイトルの『話の途中』と『かぜのかたち』というお話の二本立て。どちらも、“愛することができない、ゆえに愛したくてたまらないひとたち”の哀しくて愛しい(かなしい)物語でした。大きな感動があったわけではありません。でもなんだろう、ずっと読んでいたい。そう思わせてくれる何かがあった。たぶんこの小説は作者の想いの途中なんです。まだ先がある。けれどあえて、作者は書かないし、私も想像はしない。本に封じ込められた世界をありのままに楽しめた読書体験でした。読書メーター「話の途中」感想より
ずっと読んでいたいと思わせる何か、きっとわたしの魂が伝わっているのかな、と自分に都合の良いように解釈します。笑。そして、勉強になります。どうもありがとう。そして、特別に送ってくれた友人の方、つなげてくれて、ありがとう☆彡
長編小説「話の途中」文芸Light連載(2007~2008年)*私達はテーブルを囲み、十一時半まで心を開いて、どうでもいい話をした。テレビの話があり、芸能人のゴシップ話があり、食べ物の話があり、洋服の話があり、失敗談があり、自慢話があり、冗談話があった。気持ちの良い声をテーブルに出し合って、それは話題に関わらず、全ては心のこもった挨拶のようなものだった。追加で頼んだフライドポテトをフォークで突き刺し、ケチャップをつけて口に運び、唇を舐める。私と真由がカフェオレを飲み、ハルミツは二杯目のコーヒーを飲み終わると水をがぶ飲みした。「今度ダブルデートしようよ」と真由は言った。「恋愛はしないんじゃないの」とハルミツは言った。「デートと恋愛は違うの?」と私は言った。「さあ、どうなんでしょうね」と真由は言った。*電車の中で出会った大学生のスケッチと「私」の夢日記。奇妙な出会いから、「私」は大阪の街を舞台に、学生時代の魂の遍歴を辿っていく。クリスマスの夜、四人の男女が観覧車の空間の中に持ち込んだ時間は、それぞれの話の途中だった。共時的構造を持った青春小説。(他、「かぜのかたち」「あとがきの途中」を収める)「話の途中」(2008)第一章* 最初の関心* 存在を見つめる眼差し* かくれんぼ* 初対面の挨拶* 十九歳* 心のこもった、どうでもいい話* 観覧車とおっぱいねーちゃん* 食堂と話の聴き方* カフェと映画とバー* 愛のあるエッチ* グッドフレンド第二章* グッドフレンド2* 十七歳* 歩道橋と横断歩道* テーブルの上と下* ダブルデート* 黒いライム* ダブルデート2* 光、光、光* クリスマスの観音像* かくれんぼ2* 夢の途中「かぜのかたち」(2009)1 路上で眠る2 今井の余生3 スカイガーデンパレスのすき焼き4 握る手5 窓の光「あとがきの途中」