夢日記:『巨大なフクロウの夢』智慧の象徴としてのフクロウ、内なる女性を救う道を知る。
2016/07/09
夢日記4:『巨大なフクロウの夢』
『女が胸を患っていた。道路に出て、車を止める。中に三人の女がいて、乗せてくれることになった。病院へと向かっているつもりでいた。患った女が助手席に乗り、わたしはその背後に乗っている。運転するのは女で、わたしの隣も女だ。この状況に、違和感を覚える。降ろされたのは、関東の田舎だった。坂の上にいた。眼下に田園が見え、林が見え、民家が見えた。女と二人で坂を下りていった。田園を歩いていくと、上空から亀がゆっくりと降下してきた。亀の後ろ足の一つが上空を指し示している。「亀が飛んでいる」とわたしは言った。隣を歩いていた女が、「よくあることだ」と言った。寺の境内を歩いていくと、背後から大きなフクロウが飛んできた。空を飛んでいるライオンか何かのように見えた。フクロウは近くの段のところに下り、豊かな羽に覆われた背をわたしに向けた。どこか向こうから、世俗的な話が聞こえてきたと思ったとき、「朝からごちゃごちゃ、うるせーんだよ!」とフクロウが言った。彼が話せることに驚く。門の下を抜けた。鎌倉にいるらしい。自動販売機があった。お金を入れ、ジュースを買った。紙コップが受け口に現れ、ジュースがそこに注がれたが、何かの加減でコップがずれて、ジュースが零れ落ち、コップが転がった。黄色い帽子を被った子供たちが通りかかり、わたしを指して笑った。階段を上がっていきながら母親に電話しようと思う。しかし携帯電話を新調したらしく、思うように操作ができない』
登場人物等:夢見手、同行の女、車の中の三人の女、巨大なフクロウ、亀、
舞台:関東の田舎、田園、林、寺の境内(鎌倉)
道具:車、自動販売機、携帯電話
行動:車に乗って病院に向かう、坂を下りる、田園を歩く、ジュースを買う、電話する
【夢の解釈】
夢日記を開いていくこのシリーズは、意識的に記録し始めた2009年からのものを扱っていますが、この巨大なフクロウが出てくる夢のイメージは、衝撃的で、今でも鮮やかに覚えています。同行の女が胸を患っていて、車に乗って病院に向かう所から始まるのですが、ユング派夢分析の中では、同性が出てきたものをシャドウと呼び、異性をアニマ(魂を語源とします)と呼びます。それに従えば、わたしのアニマは、胸を患っている。心を患っているらしいのです。そして、わたしは車に乗りますが、中にも女性が三人いて、わたしは女性に囲まれていることに違和感を覚えています。そして、運転するのが女性で、わたしの同行の女性は助手席で、わたしはその後ろに乗っています。車は、ハンドルを握ること、方向を定めて進むこと、などをわたしはイメージしました。車を運転することは、男性原理的なものを現していると思います。わたしは、それらを女性に任せて、ただ後部座席に座っているのです。そして、病院に向かおうとしていたのに、関東の田舎で車を降ろされます。自然の中を歩き、寺の境内に辿り着きます。おそらく、魂の病院なのでしょう、それが寺のイメージになっていると思います。数年後には、東洋哲学に関心を持つことになりますが、この時点では、寺が出てくること自体、意味がわかりませんでした。鎌倉時代は、日本に数々の祖師が現れた無意識発見の時代、日本的霊性が発展した時代だと今のわたしにはわかります。昨日紹介したような蛇の夢と地続きの夢ですが、今度は、わたしの魂が病んでいることを示していると思います。騎手と馬の関係と同じように、わたしがわたしの魂に助けられることがあるように、わたしが、わたしの魂を助けなければならないこともあるのでしょう。巨大なフクロウは、空を飛ぶもので、地を這う蛇と対照的なイメージです。上と下、男性原理と女性原理、精神と肉体と当てはめて、大きく間違ってはいないでしょう。この巨大なフクロウの風格と言葉にわたしは驚きますが、わたしの内なる世界には、このような言葉を操る鳥が棲んでいました。それは、智慧だと思います。わたしがこの夢を見た頃、わたしは言語能力を抑圧し、社会生活の中で、ほとんど黙っていましたから、そこから、このフクロウが現れることになったのだと思います。自動販売機や携帯電話がうまく扱えない所は、お金の管理と現代利器の使用に関して、より自らを鍛える必要が示されているとわたしは感じます。「黄色い帽子」を被った子供たちに、わたしは笑われていますが、わたしは子どもの頃「黄色い帽子」がすごく嫌で、絶対に被りませんでした。社会にうまく適応している人達が、「黄色い帽子」を被っている人たちだと思います。この当時、社会適応において困難を感じていたことを、この夢がうまく表現しています。また、空を飛んでいる亀は、地を這うものと空を飛ぶものが結合することの象徴かもしれませんが、この時点では、それはまだ遠い可能性で、仄かに示されているのだと思います。わたしは、今の解釈のようにはわかっていませんでしたが、巨大なフクロウを、社会生活の表にも現していくことを意図していくこととなります。社会生活を送る以上は、自らハンドルを握り、車を運転しようと考え、男性原理を鍛えようとし始めた頃の、最初の重要な夢なのです。