レディオヘッド「A Moon Shaped Pool」レビュー：最高傑作、光と水の物語。
2016/07/12
レディオヘッドのニューアルバム「A Moon Shaped Pool」を聴いている。最高傑作。立体的な音が有機的に絡まり、融合し、天に飛翔する孔雀の羽が月明かりを浴びている。かつて讃美歌や美しい物語がやったことを、彼らは、新時代にふさわしい形に更新している。
A Moon Shaped Poolの感想と動画
人類が耐え忍んできた長い夜に、このような美しい音色がいつも人々を励ましてきたに違いない。その最新世界UPDATEのひとつが、今作「A Moon Shaped Pool - Radiohead」だ。1曲目「Burn the Witch」のイントロで、音の喜びに身体が自然とついていく。自分の方から揺らす必要などない、自然現象がわたしたちを連れて行く。「Ok Computer」（1997）、「KidA」（2000）、「イン・レインボウズ」（2007）「The King of Limbs」（2011）この流れの中で、はじめに火があり闇があった、水が加わって光が射した、今、それらは融合して、結晶となっている。個人的には「KidA」と「イン・レインボウズ」を愛聴してきたが、今作がベストだ、大地を這う身体性と天に昇る精神性が見事な融合を果たして、喜びと奇跡となって降り注ぐ。闇の中の光の束、音はイメージを呼び込み、身体はどこまでも解放され、精神は無限の星空を旅する。
2曲目「Daydreaming」のMVで、白昼夢の中、男がたどり着いたのは、雪が降る山の中の洞窟だった。雪の上には、たき火があり、男はそこに横になる。既に「KidA」で風景描写をしている詩人のようだったが、今作では、火と水、光と闇を、直観で把握して線を引くような偉大な画家となり、生命の線が、キャンバスに光となって走り、重なり、一瞬の絵を形創り、消えて現れ、繰り返す。以前から弾き語りでレコードされ、ライブでプレーされてきた「True Love Waits 」が、純粋な水のように美しく鳴って、ただこの音と共にある現在、生命と共にある現在に、YESと言える。トム、YESだ。この光と水の物語をもって、喜びと共に在るのがわたしたちだ。Thanks!!
レディオヘッド通算9枚目アルバム
追記:1曲目「Burn the Witch」MV
2曲目「Daydreaming」MV 監督ポール・トーマス・アンダーソン
A Moon Shaped PoolのCD（フィジカル版）が6月17日リリース：追記2016年6月16日
★世界で最も革新的なバンド、レディオヘッドが9作目となる新作『ア・ムーン・シェイプト・プール』を日本先行リリース決定! !★サマーソニック2016にヘッドライナーとして出演決定! 英国を代表する最も革新的なロック・バンドとして、揺るぎない評価と絶大な人気を誇るレディオヘッドが新作『ア・ムーン・シェイプト・プール』をリリース!2011年の『ザ・キング・オブ・リムス』以来約5年振り、通算9作目となる待望の新作は、長年のコラボレーターでありバンドとともに数々の名作を生み出してきた、ナイジェル・ゴドリッチがプロデュースを手がけている。前作はダブステップからの影響を反映した作品であったが、今作ではギタリストのジョニー・グリーンウッドが共演経験のあるロンドン・コンテンポラリー・オーケストラによるストリングスを大胆に取り入れ今までにない作品が完成。更に2001年にリリースされたミニ・アルバム『アイ・マイト・ビー・ロング(ライヴ・レコーディングズ)』に収録されていた「True Love Waits」のスタジオ・ヴァージョンを収録!■日本先行発売、日本語歌詞対訳付*(予定)*アーティストの意向により日本盤、輸入盤ともにオリジナルの英語歌詞は掲載されません。
レディオヘッドのフロントマン、トムヨークが6月12日隣人の庭で弾き語る。追記2016年6月16日
「A Moon Shaped Pool」を引っさげて、8月には＜Summer Sonic 2016＞で来日するレディオヘッドは、ツアーの合間の休み中である。
隣人の庭で弾き語るトム・ヨーク動画（2016年6月12日）
A Moon Shaped Poolライブ動画まとめ、レビュー・感想
レディオヘッドは、ライブになると音が全く異次元に深化し、それもライブの方が美しいと定評だが、今作でもその通り、音の深み、広がりが別世界を創造している。有機的なライブにおける、高低はあるにしても、良いときは、迫力が物凄い。下記動画の「Burn the Witch」など、どうだろう、ギター音が名作「ベンズ」のそれを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。格好良すぎる。最高です。
「Daydreaming」は、レビューするのも憚れるほど、美しい。風鈴のようなものがヒラヒラと待って、多彩な筆が生々しく、こちらに届けられる。ピアノに身体を伏せているジョニーも見所である。
今のところ、個人的ベストライブが下記動画。観客が一緒に歌うのもやむを得ない。ギターのエッジ、美しいメロディと多彩な色の融合、この有機的音の万華鏡！
レディオヘッドツアー日程
（「A Moon Shaped Pool」を聴きこんだら、サマーソニックで会いましょう☆彡）
Paris 2016 May 23